
Leica Gallery Omotesando © Teresa Freitas
テレサ・フレイタスは、SNSが写真の見方を変えた時代に現れた写真家のひとりだ。
1990年、リスボン生まれ。写真家であり、カラーリストでもある彼女のキャリアは、Instagramから始まった。日常の風景を、淡いパステルカラーと構図の力によって、少しだけ現実から浮かび上がらせる。
その独自の色彩感覚は、やがて名だたるブランドとの仕事へとつながっていった。
現在の彼女を特徴づける淡いパステルの色調は、サンフランシスコへの旅をきっかけに輪郭を持ちはじめたとされる。ただし、それは一瞬の発見というより、色彩と編集をめぐる試行錯誤のなかで、少しずつ形になったものだった。
しかし、フレイタスの写真を淡い色彩の印象だけで受け止めると、その奥にある視線の働きを見落としてしまう。
彼女の写真において、色は風景を美しく見せるための装飾ではない。遠く離れた場所や、異なる時間の気配を結びつけるための手がかりになっているのだ。淡い色彩は、見慣れた世界に、もうひとつの輪郭を与えている。

Leica Gallery Kyoto © Teresa Freitas
たとえば「Meeting Point」は、遠く離れた地域で撮影した写真を、2枚1組として並置するシリーズ。東と西という大きな枠組みを背景にしながら、文化的な差異を強調するのではなく、色や光、形によって生まれる視覚的な連続性に目を向ける。
2つのフレームが並んだとき、遠く離れた場所が、似た色調やリズムによってふいに隣り合う。そこには旅先で覚える既視感に近い、不思議な意味が生まれている。
一方、「Colour Matter(s)」は、色を、空間を構築し、知覚を形づくる根源的な要素として扱う作品群だ。建築、公共空間、人物といったモチーフが色彩の関係性によって結びつけられ、それぞれの画面のなかに静かな統一感をもたらしている。

Leica Gallery Kyoto © Teresa Freitas
写真が声なら、色は言語だ——フレイタスはそう言う。その言葉を借りるならば、彼女の写真を見ることは、世界をもう一度、別の言葉で語り直すことなのかもしれない。
SNSの画面から始まった色彩への視線は、いまギャラリーの壁へと届いている。
日本では現在、テレサ・フレイタスの写真展が、ライカギャラリー表参道とライカギャラリー京都で同時期に開かれている。表参道の「Meeting Point」は2026年6月28日まで、京都の「Colour Matter(s)」は2026年7月19日まで。
ライカギャラリーという場を通して、色彩をめぐる彼女の視線を、ふたつの都市で見ることができる。
Information:
Teresa Freitas Exhibition “Meeting Point” / Leica Gallery Omotesando
Teresa Freitas Exhibition “Colour Matter(s)” / Leica Gallery Kyoto
Images courtesy of Leica Camera Japan / © Teresa Freitas

